福井市の矯正歯科治療専門クリニック

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アメリカ探訪記 その三

いつの間にか暑い夏も通り過ぎ、気がつくと鈴虫がリンリンと。。。

ご無沙汰しております。

 

ある日子供を幼稚園に連れて行くと、クラスのお友達が手足を先生に見せながら「蚊に刺された」と自慢していました。

次の朝、また送って行ったら今度は別のお友達が先生に「蟹に刺された」と自慢していました。

どうやら、「かにさされた」が伝言ゲームで「かににさされた」に変化したようです。

子供っておもしろい。。。

 

さて、アメリカ探訪記は今回が3回目。

ゴールデンウィークネタをどんだけ引っ張ってんねん、という突っ込みはご勘弁を。

 

 

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2日間の勉強会が終わり、皆それぞれの地元で診療を再開するのですが、私はボルチモアに1日だけ寄り道して帰ることにしました。

フィラデルフィアからは、 Penn Station 30th stという駅からAMTRAKという鉄道に乗って移動します。

インターネットで予約してプリントアウトしたものを駅のバーコード読み取り機にかざして実際のチケットを受け取ります。

空港みたいに各列車のゲートが開くまで列に並び、乗車して適当な席に着くと車掌さんがすぐにやってきて、バーコードで切符を読み取ってレシートのような紙を荷物棚に張ってくれます。

あとはのんびりがたんごとん。1時間10分ほどでボルチモアに到着です。

 

 

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ボルチモア駅にメリーランド大学医学部で細菌学の研究室を構える友人O氏が迎えに来てくれていました。

O氏は国立大学の理学部を卒業後、日本国内の大学の研究施設で業績を出し、アメリカに移られました。大変優秀な方なんです。

アメリカの研究施設は日本とは違い、大学からはほとんど給料をもらえません。NIH(国立衛生研究所)からグラントという補助金をもらって研究費や人件費、生活費を稼ぐのです。お金をもらうと言っても「ちょうだい」と言えばくれるものではなく、研究して論文書いて有名な学術雑誌に掲載されたり特許取ったりすることで、自分の研究はアメリカという国家の利益のためにこんなに大事なのだ、というアピールをし、審査が通るともらえるのです。

研究室の責任者は大学にお金を払って部屋を貸してもらい、スタッフを雇って結果を出します。教授は補助金の使用用途を自分の裁量でいかようにもできます。資金が潤沢にある研究室は人もたくさんいて、教授も高級車に乗って高級住宅街に家を構える場合もあります。もちろんたいていの方は研究のために補助金を大切に使用し、生活は質素です。

補助金が途切れたりすると、研究室の規模を縮小したり、せっかく育てたスタッフも解雇しなければなりません。

補助金の当たり方は景気の動向に反映されます。人類にとってとても大事な研究なのに、アメリカでは今のところ急を要してないよということであれば、簡単にカットされてしまうこともあるようです。

そんな中、O氏はグラントを当てながらスタッフを雇い、こつこつと研究成果を出して頑張っておられます。

アメリカで生き抜く事は本当に大変なことなのだそうです。

 

 

さてもう一人、大学時代の同級生S氏が歯学部歯周病学に勤めています。

私と同期で歯学部を卒業後、単身アメリカの歯学部に飛び込み、たたき上げで指導教官になった方です。

どれだけ苦労してきたのだろうといつも敬服するばかり。

インプラントが専門で、昨年まで12年間ニューヨーク大学歯学部で臨床研究や歯学部生の臨床実習における指導教官をしながら研究論文を書いたりして、今年の1月よりメリーランド大学に移ってきました。

 

学内ですが、今は卒業の時期なので学生はいません。たまたま先生方も学会出張で少なく、がらんとしていました。

S氏が案内してくれました。

 

まずはベーシックなトレーニングを行う部屋。機材は実際に臨床で使う機器と同じものを使います。

ほんの少し簡略化されてはいますが、本格的な姿勢で実習できます。着用する診療衣から、手袋、ゴーグルまで、すべてが実戦形式です。

もう少し学年が上がると使用する機材が本格化します。

 

 

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そして臨床実習で実際に患者さんを治療する部屋ですが、どの歯科用椅子にもマイクロスコープという大変高価な顕微鏡が備わっています。歯科治療というのは大変細かい作業を要しますので、このようなスコープを使ってモニター画面に映しながら学生に指導するわけです。

学生は臨床実習に上がると患者さんをあてがわれ、最初から最後まですべて自分で治療します。

歯周病や虫歯を抱え、抜歯も必要で矯正治療も必要、最後に入れ歯を装着。。。なんて患者さんも最後まで一人で診なければなりません。もちろん難しい場合は指導教官の手助けはあるみたいですが。

現在日本の歯科大学では学生は患者さんをほとんど触らせてもらえず、見学のみで終わってしまうことも多く、大きな違いを感じます。

矯正治療の臨床実習室では、子供用に少しカラフルにしているみたいです。

 

歯学部は4年前に新館ができたばかりで立派ですが、この歯学部、実はアメリカ最古の歯学部なんです。約200年前の歴史があり、開学当時の歯学部の建物は現在歯科の博物館となっています。

次回はこの博物館の紹介をしてこのアメリカ探訪記を締めたいと思います。

 

 

 

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今回メリーランド大学を案内してくれたお二人には大量のお土産を。勉強会の資料と着替えだけだったので、スーツケースもいらないほどでしたが、せっかくなので日本の食材、雑誌、シャンプー等、持って行けるだけ持って行ったら喜んでくれました。